しまなみロマンスポルノ’18〜THE LIVE VIEWING〜
10月20日ポルノグラフィティのライブビューイングへ行ってきた。
私にとっては初めてのライブビューイング鑑賞であった。立ち上がって鑑賞するものなのか、声を出していいものなのか、ライブの様に手拍子をしたり踊ったりしていいものなのか。右も左も分からず、取り敢えず普段ライブへ行く時と同じように動きやすい服装にタオルを片手に会場へ向かうことにした。
映画館でライブを鑑賞するとは如何なものなのか正直最初は戸惑いが隠せなかったが、実際に鑑賞してみると大変面白いものであった。映画館という小さい会場ではあるが、同じアーティストのファンが集まってライブと同じように歌い、踊り、音楽に身を揺らす…場所こそ離れてはいるが実際にアーティストが語りかけてくれているような不思議な感覚。新しい音楽との触れ合い方としてアリだなと感じた。進化する映像技術や通信技術とともにこういった新しい音楽の楽しみ方も生まれているという事実が大変嬉しかった。
内容の方は9月8日に尾道で行われたライブの映像がメインのライブビューイングと聞いていたのでリアルタイムの映像との中継がここまで長いとは思っていなかった。実際は2人の故郷・因島からの中継映像が半分くらいを占めていて臨場感を大きく味わえたことも感動の一つであったかもしれない。
9月8日の雨の中のライブ映像も10月20日当日の因島からの中継映像もどちらからも2人からの地元への感謝、ファンへの思い、デビュー20年目を迎えられたことへの喜びが手に取るように伝わってきた。MCの最中笑顔溢れるボーカルと涙を堪える表情のギタリスト。こんな表情の2人を見られたのは久し振りである気がして1ファンとして嬉しかった。
SONGSでも放送されていた因島高校の生徒と歌う愛が呼ぶほうへ。雨で披露できなかったコラボ合唱がここで実現できたこと、この貴重な時間をこの目で見届けることが出来たことも感動の一つであった。メンバーと笑顔で歌う地元の高校生の姿と美しい歌声がとても感じた。
西日本豪雨で被災した地元を元気づけるように届けられる熱いナンバー、優しく切なく歌い上げられるバラードナンバー、スクリーン越しのファンに語りかけるように煽りを取り入れつつ歌い上げられるライブ定番曲。今までの音楽活動を振り返るように披露される曲の数々にスクリーン越しである筈なのにいつものライブ会場にいるように体が熱くなり、声を上げ、身を躍らせている自分がいた。
私のいた映画館は最初客席の半分が立ち上がって鑑賞、半分が座って鑑賞といった感じであった。しかし終盤ミュージックアワーのDJボイスが流れた瞬間客席全員が立ち上がったのである。この景色は圧巻であった。溢れる熱気と満場一致の変な踊り。映画館が一瞬にしてライブ会場へと変化した瞬間であった。
煽るボーカルとそれに答えるファンの掛け合い。叫んで踊って日々の鬱憤が一気に晴れて行く。嗚呼これだからバンドファンはやめられない。音楽というのは日常を忘れさせてくれるなんて楽しいツールなのであろうと思う。
この話とは少し離れてしまうが私はもう一つ大好きだったバンドをこの春に失った。解散してしまった訳ではないのだが、メンバーの不祥事という何ともやるせない理由でベーシストが脱退し実質活動不可能な状態となっている。20年以上続いた音楽活動があまりにもあっさり続けられない状態となり、続けることの難しさ、アーティストが舞台に立ってくれていることへの有難さを実感させられたのだ。
その事件後私にとって久しぶりとなる音楽の現場がこのポルノグラフィティのライブビューイングであった。2人が喜びに溢れた表情でステージに立ち音楽を奏でる光景に涙が止まらなかった。ここまで活動を続けるにあたり様々な苦難があったことだろう。それでもここに立ち続けてくれる有難さ…ファンを地元を大切にしてくれるその姿勢に自然涙が溢れてきたのである。雨の中ファンへ語りかけるその姿からこのバンドについて来て良かったと心から思った。
どうかこれからも2人が変わらずステージの上で音楽を奏で続けられるように願わずにはいられない。素晴らしい音楽を世に発信し、それと触れ合うタイミングを与え続けてくれているポルノグラフィティに感謝とより一層の声援を送りたいと思う。
この冬始まるアリーナツアーも楽しみで堪らない。屋内の会場となるので問題ないとは思うが、今度こそは天候が味方となってくれますように…
ササユリカフェ(座トークのことも少し)
先日、西荻窪にあるササユリカフェにお邪魔させて頂いた。
今回のお目当てはこちら。
10月4日〜29日までルパン三世PART5の制作資料が展示中なのだ。
昨年血煙の石川五ェ門の円盤が発売された際にも同じように展示があったことは知っていたが惜しくも足を伸ばすことが叶わなかったので、私にとっては初めてのササユリカフェとなった。
この日は土曜日。予約なしで昼過ぎごろ店内へと足を踏み入れると、これからの時間は予約のみで店内が満席になってしまうとのことでテラス席へと案内していただいた。
住宅やあまり高くないビルが多く建っている西荻窪。屋上からの景色は地味ではあるが静かな環境も相まって大変落ち着く印象を受けた。偶に聞こえてくる電車の音に味わいを感じる。
この日は生憎の曇りであったが、晴れの日であれば優しい日差しの下でポカポカと益々いい雰囲気のランチタイムを過ごすことが出来たであろう。
まず注文させて頂いたメニューはランチメニュー内のカレー合いがけセット。
ジンジャーたっぷりキーマカレーとリンゴたっぷりキノコカレーのカレーの2種類のカレーがご飯の上にかけられている贅沢なメニューだ。
カレーだけではなくサラダ、スープ、食後のコーヒー(紅茶の選択も可)がついて1300円(税抜き)。とても優しいお値段に感じた。
味の方も本当に美味しかった。キーマカレーのピリッとした辛味とキノコカレーの甘さのバランスが素晴らしい。温かいコーンスープと野菜がたっぷりのサラダで栄養バランスまで整えてくれる。非常に有難い。食後のコーヒーもクセが強すぎない味わいで香りも良く、こちらもまた好みのコーヒーであった。
ランチ後一度店内へ入りゆっくりと展示資料を見させていただいた。24話中抜粋された回の絵コンテとOP、ED、その他名シーンの原画資料等から製作段階のラフスケッチやメイン・サブキャラクターの設定資料等、兎に角展示資料の量が莫大なのだ。短時間ではとても見終わらない。どれも見応えあるものばかりで夢中になって目を通している自分がいた。
絵コンテに残されたメモから何気ないシーンの裏で動くキャラクターの心情を知ることができ、またその話を見る目線が変わる事もあった。制作側の意図を知ることでこんなにも作品の見方が変わるのかと驚かされる程であった。
個人的に19話(7.62mmのミラージュ)の絵コンテが置いていなかったのは残念であったが、寧ろ知り過ぎないことで又楽しめる点もあるだろうと思うことにした。他の回の資料がこれだけの量見られただけでも十分過ぎるほどの贅沢なことなのである。
23話(その時、古くからの相棒が言った)の絵コンテには泣かされた。1人追い詰められた次元が何を思っていたのか…まだササユリカフェに足を伸ばされていない方には是非自らの目で確認してほしい。
次元大介というキャラクターは余り多くを語らないし、あまり物事に対して感情的になることもないキャラクターである。それ故にこう言った形で制作資料に直接触れる機会や演者へのインタビューを読んで初めてその考えていたことを知ると言ったことも多い。深いところに触れ、又再度このキャラクターの良さを実感させられるのである。罪な男だ。
暫くの間夢中になって資料に目を通していたら随分時間が経っていたことに気がついたので一度ティータイムとすることにした。
注文させて頂いたのはスコーンとエスプレッソ(シングル)。
表面はサクサク中は柔らかいスコーンを2種類のジャムとクリームで楽しめる。エスプレッソのほろ苦さと相まってこちらも大変美味しかった。
ティータイムを終え再度店内に展示されている資料を見させていただき、帰り際展示共に置かれているスケッチブックにメッセージを残すことにした。スケッチブックを開くと皆様の素敵なイラストとメッセージが沢山…知っている方のものも見かけ何だか嬉しい気分になった。
喫茶店という空間でお茶を楽しみつつアニメの制作資料に触れられる。こう言った機会が今後どんどん増えてくれることを願うばかりだ。また毎度貴重な空間を設けてくださるこちらの喫茶店とテレコムアニメーションには大変感謝している。
その前週に新宿ロフトプラスワンで開かれたテレコム座トークにも参加させて頂いたのであるが、既にTwitter上にレポートが沢山上がっていることや何処までの内容を書いていいのか分からないので内容は今回は割愛する。
その中で開催された抽選会で原型師・鬼山尚丈氏のアルベールのフィギュアを頂いた。
細かく精巧に作られたアルベールに思わず惚れ惚れしてしまう。本当に本当に有難い。私が頂いてしまった良いのか…
テレコム座トーク、ササユリカフェとルパン三世PART5制作の裏側に多く触れることができた10月。貴重なお話の数々を元に再度作品を観直したい。
カフェゼノン
吉祥寺へ足を延ばす序でに以前から気になっていた喫茶店・カフェゼノンへ行ってきた。
案内して頂いた席から左側を見上げるとシティーハンター・槇村香の100tハンマー。彼女はこんな大きいものを振り回しているのか…獠が地面にめり込むのも納得。
優しい木目調の店内に現在開催中であるらしい個展のアートが展示されたりしていた。とても可愛らしい雰囲気。
頂いたメニューはラテとミニキャラメルガトーフロマージュ。
クリームチーズの甘さと表面を炙った香ばしいバナナの苦味のバランスがとても美味であった。甘党の私には堪らない。
ラテアートで冴羽獠をリクエストしたところラテアートを一番得意とされているスタッフさんが本日はお休みであったらしく、万が一上手くいかなかったら場合と次回ラテが1杯無料になる券を頂いてしまった。スタッフさんのお心遣いが温かく胸を打たれた。
実際頂いたラテアートも大変可愛らしく片付けるのを躊躇ってしまう程であった。吹き出しのXYZの文字が嬉しい。難しいリクエストをしてしまったにも関わらず奮闘してくださり本当に感謝ばかりだ。
また店内には他にもエンジェルハートのアシャンやキャッツアイの3人の原画が。北条先生の絵柄は一本一本が丁寧で美しくついつい魅入ってしまった。
お手洗いの近くSTAFF ONLYの扉に劇場版シティーハンターのポスターが。またお手洗いのマークもシティーハンターの2人のシルエット(因みに男性側は獠が手前)だ。随所随所にこういった心踊る工夫がなされている。
会計後に頂いたポイントカードは何とキャッツ仕様!5つスタンプを貯めると特典がつき更にシルバーカードに昇進できるそう。
北条司先生ファンには堪らない、またそういった要素を抜いても喫茶店として素晴らしく居心地の良い空間であった。ランチメニューやディナーメニューも気になるので、時間をずらしつつ通ってみたくなるカフェであった。
どろろ展
9月27日〜本日17時まで吉祥寺のリベストギャラリー創で開かれていたどろろ展に行って来た。
非常にコンパクトな会場であったが、関連グッズや現在公開されているPVの原画、美術背景、更には手塚先生の複製原画まで展示されていた。
写真はその一部である。まだまだ公開情報は少ないながらも製作者方の作品への熱意が感じられ、益々期待が高まる。
また他には火の鳥とブラックジャックの掛け軸なども展示されていた。
白黒の濃淡で表現された世界観が美しい。
大変恥ずかしいながら私は今まであまり手塚作品に触れたことがなかった。最近になってブラックジャックに触れた以外は、小さい頃にアニメで見た鉄腕アトムと小学生の頃図書室に置いてあった火の鳥ぐらいであろうか。
だがその分これから数えきれないくらい沢山の手塚作品との出会いが待っていると思うとワクワクが止まらない。
どろろも再アニメ化に伴い、原作コミック(サンデー時代コミック版)を購入してきた。文庫本版の1巻しか読んだことがなかったので、アニメ放送までに予習しておきたい。また最近dアニメストアに登録したので旧作アニメの方も視聴してみたい。
まだまだ知らないことだらけの手塚治虫先生の世界。当分の間退屈することはなさそうだ。
ルパン三世 PART5 感想
今年の4月から先日まで半年に渡って放送されていたルパン三世PART5を全話通して視聴したので、今回はその感想を残しておきたい。
Twitterの方には基本ポジティブな感想をメインに書いていたが、こちらは否定的な面も記そうと思っているので悪しからず。
2年ぶりのテレビシリーズ、私自身前回のテレビシリーズ前後からこのジャンルにハマった為今回の放送を大変期待していた。
全体を通してその期待を裏切らない大変質の良いアニメーションであると言った印象を受けた。個人的にテレコムアニメーションフィルムの作画がとても好きなので、今回のシリーズの映像も期待以上に見応えのあるものであったと思う。背景美術、キャラクター達の細かい表情の変化には特に感動させられた。
ストーリーの方も大変良く作りこまれていて、1話完結ではない続きもののエピソードが4つ組み込まれていたこともあり次週のストーリーを予想したり、同じ作品を観ているもの同士で考察し合ったりしながら毎週ワクワクと放送を待つ日々を送っていた。バラエティーに富んだ単発回も箸休めというには贅沢すぎる程様々なシリーズのルパン像を観ることが出来て嬉しかった。
一方で気になった点も幾つかある。
その一つは脚本作りに関してだ。ルパン三世という作品における好きな部分について聞かれたら、私はいつも第一にキャラクター達の台詞回しを思い浮かべる。昭和のTVシリーズにおいてもTVSP初期の作品においても海外映画を観ているようなちょっと洒落込んだニヒルな台詞回しから、ハードボイルドに酔いしれる何とも擽ったい気分を味わえるのが好きだ。だが今回のPART5ではそういった気分を余り感じられなかった気がするのだ。
EP2(雑破業さん)と19話(時雨沢恵一さん)の脚本はその点とても好きだった。登場キャラクター達がよく立っていて、それぞれの魅力を活かしたキャラクターらしい台詞回しがされていたなという印象を受けた。また徹底してコメディー色に転じた6話(酒向大輔さん)の脚本も、この回全体をどのように見せたいかの方向性が大変わかりやすく伝わってきて素晴らしい出来であった。
その他のエピソードに関してはもう少し文学的でニヒルなそんな台詞回しが欲しかったなと思う。伏線を張るという点に徹しすぎて、台詞の間を大切にすることを忘れてしまったような残念さを感じた。
またもう一つ気になった点はEP1の時点から''ルパン三世らしさが欠けていた''という点についてである。
ルパン三世という作品としてもキャラクターとしても、どちらにせよ今回のシリーズはその''らしさ''に欠けていた。このシリーズはルパン三世をどんな像として描きたかったのであろうか?
1話の冒頭、またEP4ラスト(最終話ラスト)で言われていたのを観るとルパン三世をヒーローとして描きたかったのであろうことが伺える。況してやフランス国民からまた世界から応援される、そんなある種の国民的ヒーローのような。
ルパン三世をヒーローとして描きたかったのであれば、何故23話においてその一番の右腕であり相棒である次元大介が警官を相手に大量殺戮したともとれる描写を組み込んだのであろうか?一般市民の味方である警官を殺してしまうような相棒を持つ泥棒がヒーローと言えるのか?
次元が大量殺戮を行ったかもしれない事実に関しては、元殺し屋である過去があることや銃の才能で生きていくことしかできない人物であることからもキャラクター像を疑う気は特に起きなかった。誰かを殺して尚笑っている、本来そういう一面のあるキャラクターであると勝手に心の奥底で思っていたからかもしれない。
だがPART5で描きたかったルパン三世像がヒーローであったならば、何故23話であのような描写を入れなくてはならなかったのかが分からないのだ。ただ格好良さを魅せるためという理由であったならばそれはあまりに浅はかなことであろう。倒していた相手が悪者であったならば次元の実力を存分に楽しめる名シーンであったからこそ、次元ファンとしても悔しさが残る場面であった。
また峰不二子と石川五ェ門について。PART5では2人揃ってルパンと自分の関係性について頭を悩ませその事が大問題の元となっていたが、本来関係性に執着するようなキャラクターであっただろうか?五ェ門はそのような面があったとしても今回のシリーズの設定である''過去の全シリーズを通ってきた五ェ門''であるとするならば今更そんなことに執着する理由が見つからないし、不二子に関してはそもそもルパンとの絶妙な関係に納得しそれを楽しんでいる女では無かったのか。PART4でレベッカに自信ありげに語っていたルパンの求める女像とは何だったのか。幾ら考えても今ひとつ納得するのに至らなかった。
作品のテーマでも男の世界が歌われるように、ルパン三世という作品を語る代名詞に男のロマンがあるのはどの時代においても変わらない事実であろう。PART5は現代(やや近未来に近い?)に舞台を置いたことを意識し過ぎたせいで、上記のような脚本や作品像やキャラクター像など一つ一つの点において少し男のロマンに欠けてしまったような印象を受けた。アニメーションとしての出来が素晴らしかっただけに個人的にこの点は非常に残念だ。
私自身の活動拠点であるTwitterにおいて基本的にポジティブな感想しか呟いていなかった分こちらではややネガティブな感想が目立ってしまったが、平成最後の夏もルパン三世という作品の新作が目を見張るようなアニメーションクオリティで観られたこと、また小林清志さんの声の次元大介が聞けたことには心から感謝している。平成という一つの時代が終わってしまうが、また新しい時代にもきっと作られることになるであろうルパン三世という作品を今後も応援しつつ更に次作にも期待したい。